吉増剛造,マリリア【葉書Ciné】#1「歌よりも遠くへ。さらに深く、……。」

当動画の編集と運営は、書肆吉成とコトニ社が共同で行っています。

詩人・吉増剛造さんとシンガーソングライター・マリリアさんのgozo’s DOMUSというチャンネルで、 2020年4月30日より毎週木曜日に映像詩「葉書Ciné」をアップしています。

以下、吉増剛造さんの最初のコメントです。

途方もない、かつて覚えたことのないような不安に襲われておられていることでしょう。そんななかGozoとMarilyaは、細々と、これまで聞いたことのない歌声、……聞こえない歌声をわたくしたちも求めて、ひとつのこころみを始めることにいたしました。日記のように、葉書のように、ほんの僅かな獨言(ひとりごと)の毎週の発信です。札幌が基地で吉成秀夫さんと後藤亨真氏のお力を乞いました。 剛造記

注:吉増剛造詩集『天上ノ蛇、紫のハナ』(集英社2005)の書き下し詩「激つ」冒頭に「緑の導火線をつらぬいて花をはしらせる力=THE FORCE THAT THROUGH THE GREEN FUSE DRIVES THE FLOWER(Dylan Thomas)」がある。FUSEは導火線と訳されているが、次のページでは「別の訳」として「緑の脈管」の訳語がとられている。2005年3月14日に書かれたとみられる関口涼子Ryoko Sekiguchiへの書簡(『機-ともに震える言葉』(書肆山田2006)所収)には次のように記されている。「つい、二週間前まで、Sligo, Galway, Corkと一心に校正をつづけていた、あたらしい詩集の冒頭は、Dylan Thmasの”Green fuse(緑の脈管)”から詩が起こされていて、書きはじめられていて、……」(p215)。 なお、国文社刊『ディラン・トマス全集1詩』(1975)では「緑の信管を通して花を駆りたてる力が」(田中清太郎訳)、青土社刊『ディラン・トマス全詩集』(2005)では「緑の導火線を通して花を駆りたてる力は」(松田幸雄訳)である。